DXをやっているはずなのに、なぜ現場は楽にならないのか
DXの相談を受けていると、 こんな言葉を聞くことがよくあります。
ツールは入れた
仕組みも作った
でも、正直あまり変わった感じがしない
話を聞いていくと、 やっていること自体は間違っていないケースがほとんどです。
それでも現場では、
入力が増えた
見る画面が増えた
考えることが増えた
結果として 「前より忙しくなった気がする」 という感覚が残ってしまう。
この違和感は、 DXの進め方そのものに原因があることが多いと感じています。
気づくと、DXは「足す方向」に進んでいる
多くのDXは、振り返ってみると 足す前提で考えられています。
機能を追加する
管理項目を増やす
データを細かく取る
理由も分かります。
「せっかくなら」 「あとで使うかもしれない」 「他社もやっている」
ただ、この「念のため」が積み重なると、 現場は少しずつ重くなっていきます。
誰かが悪いわけではありません。 ただ、結果として 使い切れないDX になってしまう。
現場でうまく回っているDXは、意外と地味
一方で、うまく回っている現場を見ると、 正直なところとても地味です。
入力項目は少ない
見る数字も限られている
操作も単純
派手さはありません。
ただ、現場の人に話を聞くと、 こんな言葉が返ってきます。
「迷わなくなりました」 「何を見るべきか分かりました」
DXの成果って、 こういう感想に集約される気がしています。
私はこれを「引くDX」と呼んでいます
勝手にそう呼んでいるだけですが、 うまくいくDXには共通点があります。
それが、引くところから考えていること。
これは本当に必要か
なくしたら困るのか
今、一番重たいのはどこか
こうした問いを、 導入前や設計段階でちゃんと通している。
その結果として、 必要なものだけが残る。
足すことより、引くことの方が難しい
足す判断は、実は簡単です。
やっている感が出る
説明もしやすい
反対されにくい
一方で、引く判断は勇気がいります。
本当に大丈夫か不安になる
責任を感じる
後戻りできない気がする
だからこそ、 DXはいつの間にか「足す方向」に傾きやすい。
DXの目的は、便利にすることではないと思っている
個人的には、 DXの目的は「便利にすること」ではないと思っています。
それよりも、
迷わず動ける
判断に時間を使わない
本来の仕事に集中できる
こういう状態を作ることの方が大切です。
そのためには、 情報は少ない方がいい場面も多い。
足す前に、一度引いてみる
DXを考えるとき、 「何を入れるか」から考えがちです。
でも一度、順番を変えてみると 見えるものが変わります。
今、多すぎるものは何か
なくしても回るものはどれか
現場が一番しんどいところはどこか
ここを整理するだけで、 DXの方向性はかなりクリアになります。
おわりに
DXは、 足せば足すほど良くなるものではありません。
むしろ、
引く
減らす
シンプルにする
この判断ができたときに、 現場は初めて前を向きます。
次にDXを考えるとき、 少しだけ立ち止まって、こう考えてみてください。
「これは、足すDXだろうか。 それとも、引くDXだろうか。」
その問いだけで、 見え方が変わることも少なくありません。